このような条件を満足する授業をどのような形で行いうるかを考えたとき、次の二点が考えられる。まず、教育に関する「大学間相互協力体制」を築くことである。多数の学生を相手にきめ細かな教育を行うためには、同様な講義を複数の教官が分担することにより、各教官の専門分野における経験と実績を基に質の高い講義内容にすることが期待できる。第二点は、情報ネットワークを利用した新しい授業形態の導入である。すなわち、コンピュータを有効に利用して“学生がコンピュータと会話しながら自発的に学ぶこととのできる教育システム”を構築することである。このシステムには、音や映像の利用(マルチメディア)が不可欠である。特に「建築音響」を学ぶためには、実際に音を聞きながら学習することは、大きな教育効果が期待できる。
こうした中で、近年、マルチメディア対応の情報ネットワークの整備が急速に推進されており、我々の所属する大学においても、最近、デスクサイドのパソコンやワークステーションがインターネットに接続され、世界中の研究者との電子メールの交換が可能となった。このようなコンピュータネットワーク環境を積極的に活用してゆくことで、大学の研究や教育に多大な効果が期待できる。
本研究の研究組織は、九州の6つの大学の「建築音響」を専門にする教官6名と「聴覚」を専門とする民間研究者1名で構成しているが、我々は日頃から共同研究を進める中でこれからの大学教育のあり方について議論してきた。その結果、「大学間相互利用可能な建築音響に関するマルチメディア教育システムの開発」を行おうとの合議に達し、本研究を計画するに至った。
本研究は3ヶ年で実施する予定であり、各年度の研究計画は下記のとおりである。