沿道の道路交通騒音を予測するには、沿道に存在する建物による騒音減衰量を予測することが必要である。複数の建物が複雑に配置している市街地では、騒音減衰量を理論的に捉えることが極めて難しいので、本研究では音響模型実験により検討する。昨年までに受音点が1.2mの場合の予測法を確立したので、今年度はこれに続いて受音点が任意の高さの場合を検討する。
この研究では、音響模型実験と実験結果から予測式を求める分析、さらに、得られた予測式の有効性を検討するためのコンピュータ・シミュレーションや騒音実測などを行うことになる。
この研究は、道路や建物の情報を地図情報(GIS)から読み込み、それを用いて沿道の道路交通騒音の予測を行い、結果を地図に表示する「騒音予測システム」を構築し、このシステムを用いて、福岡市内道路網の交通流や沿道の建物などを仮想的に変化させたときの騒音を予測・評価することによって、道路網の交通をどのようにし、沿道の建物をどのように配置すれば都市広域をより静穏な環境にすることができるかについて検討し、都市広域の沿道を静穏にするための道路交通の制御、沿道への緩衝建物の計画的誘導、緩衝建物背後地の土地利用計画に関する指針を提示しようとするものである。
この研究では、GISを用いた道路交通騒音のコンピュータ・シミュレーションが主体となる。
道路に面する地域の居住環境を向上させることを目的とし、交通騒音の低減方法について研究を行う。この研究は、進化的計算法といった質の高い実用解を求めることが可能な最適化・探索法を用い、建物の配置および形状、地面あるいは壁面の音響性能等について、それらの最適な組み合わせを求めるシステムを構築し、このシステムを用いて、沿道に建物群の計画的な形成を促すなど、道路に面する地域における交通騒音の効果的な低減方法を提案するものである。
この研究では、道路交通騒音の予測および評価、建物の最適な配置計画などをコンピュータ・シミュレーションにより行う。
コンサートホールの音の良否は、音場のインパルス応答(直接音、初期反射音、残響音)で決まるので、コンサートホールの音場評価は音場のインパルス応答の聴覚的効果を解明することが基本となる。これまで、直接音や初期反射音と音場の空間印象の関係は森本、Barron、安藤、古屋・藤本らによって明らかにされ、実際の音響設計にも活用されている。しかし、残響音に関しては、その長さ(残響時間)に関しては古くから解明されているものの、方向性の聴覚的効果(残響音はどのような方向から到来するときに"よい響き"をもたらすか)は明らかでない。本研究は、残響音の方向と音場の空間印象の関係を解明して、残響音の方向分布の基準を提示しようとするものである。
この研究では、室内模擬音場を用いた音響心理実験が主体となる。
室内音場の評価は、音場の予測、実測ともに、音源を無指向性と想定して行われているが、実際の音源(楽器や声楽)は指向性を有しており、指向性や音源の舞台上の位置や向きを考慮することでより精度の高い音場評価が可能になると期待される。本研究は、音源の指向性を考慮することの必要性を検証し、指向性を考慮するための手法を提示して、新しい室内音場評価法を確立しようとするものである。昨年までに、コンピュータ・シミュレーション並びに指向性音源による実ホールの測定を行い、音源の指向性を考慮することで音源を無指向性と想定した場合では捉えられない音場特性が把握できることを示してきたが、本年度は、音源の指向性の影響が聴覚的に有意な差となって表れることを心理実験により検討する。
この研究では、室内模擬音場を用いた音響心理実験が主体となる。
サウンドスケープとはカナダの作曲家マリー・シェーファーの造語であり、一般には「音の風景」と訳されている。シェーファーは、環境に存在するすべての音を受け止め、好ましい音環境を創造するにはどうすべきかを考える必要があると提言している。近年、都市の公共空間には、仕掛け時計などのような音を出す施設が種々設けられる傾向がみられる。環境に存在する音に関心が持たれるようになりつつあることは好ましいことであり、音を環境デザインの道具として用いること自体を否定するものではないが、空間に潤いをもたらすことを意図した音施設も、時として騒音となる危険性を内包している。本研究は、都市の公共空間に設置されるさまざまな音施設を調査し、公共空間の音環境のあり方を提言することを目的とする。
これまで、駅の音環境、商業空間のBGM、都市公園の音について調査研究を行ってきたが、本年度はこれまでの研究をさらに進める。