1997年度の研究テーマ

  1. 住宅地の地域計画的騒音防止対策

    交通量の多い道路に面した地域に、住宅地などの静けさが要求されるものを計画する場合は、計画段階から騒音に配慮した配置計画が必要である。本研究は、実測調査や音響模型実験などにより、道路交通騒音の住宅地内への伝搬性状を把握し、住宅地の中高層建築物やオープンスペースなどの配置と騒音レベルの分布特性との関連性を明らかにし、これを基に住宅地内の騒音を最小化するための住宅地の地域計画的指針を提示することを目的とする。これまで、中層住宅が道路に垂直に配置された団地と平行に配置された団地を対象に団地内への道路交通騒音の伝搬性状を実測調査し、建物の配置が騒音レベルの伝搬に及ぼす影響について考察した。今年度は、音響模型実験からこの関係を定量的に予測するとともに、道路周辺に高層建築を配置した場合についても検討する。

  2. サウンドスケープの視点からみた公共空間の音環境のあり方

    サウンドスケープとはカナダの作曲家マリー・シェーファーの造語であり、一般には「音の風景」と訳されている。シェーファーは、環境に存在するすべての音を受け止め、好ましい音環境を創造するにはどうすべきかを考える必要があると提言している。近年、都市の公共空間には、仕掛け時計などのような“音を出す施設”が種々設けられるような傾向にある。環境に存在する音に関心が持たれるようになりつつあることは好ましいことであり、音を環境デザインの道具として用いること自体を否定するものではないが、空間に潤いをもたらすことを意図した音施設も、時として騒音となる危険性を内包している。本研究は、都市の公共空間に設置されるさまざまな音施設を調査し、公共空間の音環境のあり方を提言することを目的とする。これまで、駅の音環境、商業空間のBGMについて調査研究を行ってきたが、本年度は対象を公園などに広げて研究を進める。

  3. 音風景に基づく福岡市の環境保全施策の策定

    福岡市は、昨年と今年度の2年間、環境庁からの補助を受けて「音環境モデル都市事業」を推進している。昨年は、倉本聰氏、浅井愼平氏、湯川れい子氏、鳥越けい子氏らをパネラーに迎えて「音環境フォーラム」を実施し、藤本もコーディネータを務めた。今年度は「福岡市の音百選」を選定するという企画が考えられている。これは、音を切り口にしながら福岡市の環境保全のためのプログラムを策定しようという試みである。音百選は、住民アンケート調査を行い、市民に親しまれている音、場所、行事、建物などを拾い出し、そこから選定していこうと考えている。本研究は、福岡市のこのような事業をサポートしながら、福岡市の環境保全のあり方を提言しようというものである。

  4. オーディトリウムにおけるバルコニーの音響設計法

    オーディトリウムのバルコニー下は、“音がこもる”“窓を通して聞いているような感じがする”というように、定性的には“好ましくない”音場であるといわれている。しかしながら、バルコニーの形態(高さや奥行き)に関する音響設計指針はない。当研究室では、これまでバルコニー下部の音響特性と聴感印象との関連について研究し、バルコニーの奥行きを高さの0.7〜1.0倍程度にすれば、バルコニー下部でも“音の好ましさ”が損なわれないという結論を得ている。しかしながら、バルコニー下の音場の特徴は初期反射音だけで捉えられる訳ではない。例えば、音響エネルギーや残響の不足などが予想される。そこで本年度は、バルコニーを有する実際のオーディトリウムにおいて、ダミーヘッドを用いて音響特性を実測し、これを用いて実験室内でバルコニー下の音場を再現しながら、バルコニー下の音場の特徴の解明を進める。

  5. 暴走族の騒音に対する住民反応

    暴走族の騒音により迷惑を被っている住民は多い。暴走族は、他人が迷惑を受けることを承知で意図的に騒音を発生させるもので許し難い。本研究は、福岡市やその周辺部における暴走族による騒音の被害の実態を調査し、暴走族の騒音による影響について研究しようとするものである。暴走族の騒音の特徴は、聞かれるのが夜間の静かな時間帯であること、騒音レベルが大きいこと、比較的高い周波数の音が多く含まれていること、また騒音レベルの時間的変動も極めて大きいことなどがあげられるが、そのような騒音が、睡眠中の住民にどのように受け止められているかを調査しながら、その対策方法について考える。


藤本研究室ホームページへ

1996年度の研究テーマ